おおしけ
凪でのんびり漂う海月
波の音を聞きながら
太陽に我が身晒し
ムルソーの事を考える
安全だと感じたのは
気のせいで
風だけが
自分の意志で動いている
海鳥や甲板の黒猫は
すでに嵐を察知している
名前の消えかけた航海日誌
ページの隙間に
誰かの絶望が挟まっていた
まどろみに落ちて
目が覚めた時に
四方を稲妻に囲まれ
命からがら逃げ出す
食料がなきゃ魚を釣りなさい
マリーアントワネットが
的外れの忠告を
ギロチン台から言ってる
なんでお前は あの時
あんなに笑ってたんだ?
外も内も嵐
その瞬間
錨がない船に
重力が戻ってきた
気がしたのは
きっと気のせいさ
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