かわせみ
死のうとするわたしのことが
あなたは好きじゃなくて
わたしが消えるくらいなら
ほかのだれかが死ねばいいって
くもった翡翠
翡がオス、翠がメス
よくあることだけど
普段鳥を見慣れてないとそんなに可愛くない
あなたが私のために泣いている
あなたが私のために怒っている
わたしが救われるためなら
わたしを殺すことも厭わずに
良い石はすこしひんやりする
死んだ人肌のぬくもり
やわらかなまるい研磨された鉱物を
うつくしいという目は醜いのだろうか
私を殺しても
私は生まれる
私を生んだのは
私じゃないから
かわせみの羽音
魚を呑み込む仕草
河原でたたずみ
夕焼けを映すあおい体
これが溶かしたガラスに
ごみをインクルージョンした
ただのがらくただったら
そのほうが私らしいからいい
わたしには好きな人がいます
他の人とは付き合いません
でもその人はわたしが嫌いです
これはただの自覚と諦め
飛び立たないかわせみの羽根
もう死んでいるから
それでも少しは生きていた頃のように
あおい
これはそういう色
翡翠は人を避ける石
笑うのも泣くのも
あなたの自由です
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