キス

ほんの少しのお菓子が
なくなるのが嫌で
ずっとしゃぶってた頃みたいに
僕は君という夢を見る

みんな君が怖い
僕を可愛がろうとする君が
僕はただ
俯いて金を稼ぐ

どうでもいいさ、金を生むから
育てていただいただけの命
自分一人で死ぬこともできずに
やわやわと絞めあげられて苦しむ

君は僕を殴ることがたやすい
泣いていると悦ぶ
不幸にしてひとりぼっちだ
目が覚めている時におやすみ

何処を触れば辿り着くの
埋め立て地みたいな毛布の中で
ずっと君の声がするところを
探り当てようとしてるのに

会いたいな
もう会えないな
知ってくれないか
どんなに君が愛しいか

バスの外に君はいない
後ろ三列めに座ってた
ガラス越しの横顔にも
きっと二度と会えないのに

後悔してない
もうそんなに時間がないから
ただ君に
死ぬ前にキスしたかったなぁって

伸ばした手の先にみえるのは
本当に君の姿だったの
もう何処にもいなくなってしまう前に
掴まえたかったのは

その手に口付けて
額付いて
つまさきにすり寄りながら
愛してるって言うよ

許して貰えなくてもよかった
君が生きてて
笑ってて
幸せなら

投稿者

神奈川県

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。