触れる

触れる

梅雨も
終わるというのに

湿った肌寒い外気が
私の身体を
満たしている。

汀に
盛りを過ぎてしまった
半夏生の花

ふるえながら
咲いている。

ひっそりとした
つぶつぶの白い花に触れると
忘れかけていた生々しさが
指先の奥から甦ってくる。

葉の面にも
誘うような白さを残して。

今朝
驟雨に
みまわれた。

投稿者

東京都

コメント

  1. 写真の雨にぬれた葉がみずみずしくて すてきです。
    情緒的な詩の世界で好きです。

    つぶつぶの白い花に触れると
    忘れかけていた生々しさが
    指先の奥から甦ってくる。

    触れる、ということの感覚を、今、呼び覚ましてくれる詩ですね。
    触れることのたいせつさ、触れることができるたいせつさ、を感じさせてくれる詩だと思います。
    すてきな詩をありがとうございます。

  2. 色っぽいですね。まだお祭り終わっていなかったですね。
    ハンゲショウは以前も長谷川さんの作品で取り上げていましたね。白い葉のおしろいが落ちるまでの色香。
    触れずにはいられない刹那です。

  3. こしごえさん
    花は、できるだけ触れて、その触感を確かめるようにしています。形や色彩だけでは判らなかったものが、触れることで確かめられるような気もします。花に限らないのかもしれませんね。ありがとうございます。

  4. 王殺しさん
    皆さんのお作品が艶っぽいので、刺激を受け、お祭り?に参加してみました。
    半夏生は、独特の花で、魅かれます。…派手ではないのですが。葉っぱも、白く染まります。雨に似合う花だと思う。そういう女性って、いますね。

  5. 湿気がまとわりつく感じ。潤いをまとった事象たちがふるえているようでした。

  6. たちばなまこと/mさん
    湿気と、潤い。このふたつを感じていただけたなら、とても嬉しいです。ふるえながら咲いています。

  7. 花だけにかかわらず、モノゴトを触れてみて感知するということの大切さを感じます。触れられないものも多いですが、触れられるものはなるべく触れてみてその感触ごと自分の記憶に留めておきたくなります。

  8. あぶくもさん
    長引くコロナ禍で、社会がすっかりオンライン化してしまいました。もちろんメリットもありますが、触感的な部分が薄らいできてしまったかなという憂慮もありますね。少しでも、触れる、という機会を持てたらと、私も思います。

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