三十年越しのラブレター

いつか見た夢を共に語ってくれませんか
夕日に映る貴方の肩が眩しくて
目を背けてしまいました
そんな私の仕草を不思議な顔をして見つめ
唇を奪っていきましたね
貴方の目尻の皺が美しくて触ってしまって
驚ろかせてしまったこともありました
何度もごめんなさいを繰り返し
それでも許されないことをしてしまったのに
寡黙な顔をして貴方は許した
いつまでもいつまでも
忘れない貴方の優しさを
これから後悔せずに生きられるでしょうか
出会いが偶然ではなかったと信じたいのです
かたときも離したくないと悲しんでくれた夜
庇ってくれた雨の道
暖かなセーターを着て歩いた坂の上
お新香と味噌汁だけの質素な食事
焦げたナス
大切にした宝石
畳の匂いがする小部屋
寒い時の抱擁
会いたいと伝えあった電話の声
冗談の中の本気
永遠と語り合ったあの夜と夜の数々
バイバイと言った数
またねと言った数
全て宝物でこれからも宝物
貴方にとってそれらは希望ではなかったのでしょうか
貴方にとってそれらは深淵での出来事だったのでしょうか
それは私にとって光でした
光そのものでした
暗闇に囚われていた心を解放して明るい所へ導いてくれたのです
今も変わらず心の中で燃える炎のように輝いています
どうか後悔したなんて
言わないでください
でもこれだけは言わせて
ありがとう
永遠の感謝と共に⋯⋯

投稿者

栃木県

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