廃趣味回収車

廃趣味回収車のおじさんは私に聞いた
「あんたさん、趣味は?」
絵、描くことって答えてた。前はね、前は。
「詩、書くこと」
趣味は?って聞かれたらそう答えていいのか
私には分からない。詩は私の趣味なの?
昨日まで描けていたのに、絵は私を捨てた、突然のこと
壊れた絵ののった紙をひたすら破っていた
そのうち破ることさえできなかった
だからね、今日はそれを回収してほしいのです。
おじさんは淡々とそれ荷台に載せて走り去っていった。
私はすっきりした。
今日からは詩を描いた
絵の代わりになるものができた
勝手に頭を騙せたはずだった
頭の片隅に残る絵は小声で呼びかけてくる
また紙と鉛筆を取り出してみるけど、手は動かない
文字だけが回転寿司みたいに回ってくる
なのに、手は動かない
あ、ここで止まってください。おじさんの荷台に乗せたいものがあります

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