絶望のガーゴイル

・朽ちた寺院、朽ちたガーゴイルの石像がある。

・表面は焼き焦げ、辛うじて顔が残っている。

・激しい雷鳴のなかでガーゴイルはいう。

・私は絶望を言葉にしよう。

・この世界の有り様、そのものが既にどす黒い。

・私は偽善を明らかにしよう。

・自分さえ自分たちさえ良ければ、結局は正義は存在しない。

・貧困、飢餓、戦争、そして弱肉強食の世界よ、お前たちは間違っている。

・人間め、人間よ、人間のくせに、お前たちは何と無力なのだ。

・力を持ちながら、享楽にうつつを抜かす。

・害を受ければ被害者であると泣き叫ぶ 

・そして憎しみのままに、世界を滅ぼした。

・私の目の前にある光景は何か。

・核戦争後の荒廃した、全ては汚染され、生命は全滅した世界。

・お前たちの偽善、正義のもたらした結果だ。

・私は、ただ絶望する。

・そうして、ガーゴイルの石像は、音を立てて崩れ落ちた。

・天は雲に黒く覆われ、止むことなき雷鳴、汚染された雨が、廃墟に降りそそいでいる、いつまでも。

投稿者

大阪府

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