魂で動く
脳の命令が
届かなくなった時
神経が沈黙し
筋肉が裏切っても
それでも
動くものがある
魂だ
それだけが
最後の最後に
拳を上げる
試合のアクシデント
全身不随
高山善廣は倒れても
信念は折れなかった
前田日明は叫んだ
高山!
プロレスラーの体は
筋肉で動くんじゃなくて
魂で動くんだよ!
その言葉は
リングを超えて
ICUを越えて
ある朝LINEに乗って
友達のスマホに届いた
躁鬱と脳梗塞と
リハビリの果てに
訪問介護の
バイトを始めた彼女
なぜかって?
コロナで傾いた俺の会社
夜にUber走らせ
昼間はスーツで
現場を回してる姿を
どこかで見てたからさ
おかしな話しだけど
倒れる前より 倒れた後の
彼女は生き生きしていた
体は
神経で動くんじゃなく
魂で動く
それが彼女の
朝の目覚まし
面会謝絶
言葉しか届かない距離の中
LINEで
永ちゃんの曲と一緒に
毎朝 届けたんだ
理由は
俺の数少ない
大切な人だったから
命をつなぐのは
薬じゃない
金でもない
同情でもない
ただの一文
たった一つの言葉が
その人の
魂を点火する
この詩が
誰の神経にも
触れなくていい
でも
魂には
届いてほしい
だから
俺は
まだ言葉を続けてる
そして
エマージェンシーほど
天使の香りに包まれて
香る瞬間はない
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