幻想は滴る

口から入った毛虫は

 腹を食い破って  やがて美しい蝶になる

 一瞬時が止まった

 それはそれは美しく残酷であった
 
  血塗られた羽はこちらを全く見ない

   眼光は鋭く  どこかを見つめていた 

   やがて羽ばたこうとする蝶を僕はつかんだ 

   深く深く  ぬれた爪が食い込むように。

  瞳にはあの蝶しか映らなかった

投稿者

愛知県

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