飢えた皮膚

飢えた皮膚から
なにかが滑り
堕ち
貴方ならもう
判ってると
思っていたけど?

背もたれを失くした
腰掛けで
ふたりは
話すことに躓きながら
ぼんやり
生きていける気がしてた

譬えば
戻るならいまだよって
貴方は言うけど
「狡いな」って言葉を
飲み込んで、微笑った

明日を夢見るほど
私たち若くない
だから余計に
左指を
離したくなくなる

渇いた膚から
水より涙を欲する
堕ちた石鹸を片って
貴方の耳に触れた
私の息が触れた

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