秋/みあげる
ずっとむかしの
波しぶきの化石を並べて
もう聞こえない声の数々は
糸を曳くように飛び交う
白く露出した骨は
もう痛みを感じないから
少しずつ折り取っていく
日記みたいな作業
遠くで
いくつも
火の花が
咲いて
淡くよごれた小鳥たち
いつか海の夢をみろよ
ふかい、ふかい藍の色
どこまでも潜れたらいいのに
ずっとむかしの
波しぶきの化石を並べて
もう聞こえない声の数々は
糸を曳くように飛び交う
白く露出した骨は
もう痛みを感じないから
少しずつ折り取っていく
日記みたいな作業
遠くで
いくつも
火の花が
咲いて
淡くよごれた小鳥たち
いつか海の夢をみろよ
ふかい、ふかい藍の色
どこまでも潜れたらいいのに
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コメント
過去のことで実はいつまでも生はひっぱられません。昔さんざ泣いたとしても、今の涙は過去の事柄によってはなく今のこと。痛みはただ更新され、過去のものではないのだな。
ただ人は過去と今とを結びつけて生きている。今の痛みも過去のものと。
締めが体内回帰のようでその実、絶望に近いものを感じます。
タイトルに「みあげる」とあって、最終行は「潜れたらいいのに」
こういう持って行き方、とても好みです。
最終連が印象に残る。いつか海の夢をみろよが下であると気づけるようになった歳。藍は愛に空メされ。と、私見読解してみました(*ノωノ)