はじめてのパパ活

はじめてのパパは トトロみたいなひとだった
デブでハゲた関西の社長さん
ワイシャツのボタンがはちきれそうだった
生まれて初めてベンツに乗った
ラブホテルをいくつか経営しているらしく羽振りが良さそうだった

旅行に便利やねん
使い捨てスリッパと備品と思われるDHCの化粧水やらパックやらを沢山くれた
こんなんいくらでもあるから言うてな
なんだか嬉しかった 
ハゲてるねん
ルームミラーで何度も確認しては笑ってるパパの横顔を見つめる
初めてホテルに行った時
スイカみたいなまんまるなお腹がベッドに向かってきてびっくりした
終わると汗だくになった体をタオルで拭き
首にかけ
ロング缶のビールを3缶は飲んだ
普段ボタンでギリギリとめられているお腹
何が入ってるか
わたしだけが
知ってる
裸ん坊でビールを飲みながら
パパの話を聞くのが好きだった

借金と返済 波瀾万丈人生
一つ嘘ついたら輪をかけてどんどん嘘つかなあかん
嘘はつかんとき
これおっさんの法則 

子供なあかわいいで
いつか産んだらいいやん
私の恥骨をぽんぽんした

最近奥さんにカテキン緑茶持たされんねん
どないせっちゅうねん
たぶん、全部入ってんねん
膨れ上がったパパのお腹をぽんぽんした

ワイシャツを着る背中を見つめる

後ろから抱きしめると
なんやねんって笑って私の頭を撫でた
休肝日はベンツで家の近くのコンビニまで送り届けてくれた
それから一万円札を何枚か貰う
なんかこうてな

ボタンひとつ弾けたらきっとお別れだ
だから
本当は
本当のこと伝えたかったけど
嘘ついてた

投稿者

東京都

コメント

  1. 最後でグッと物語に情感が生まれている気がします。いいですね。

  2. お腹とボタンのつながりが上手いなと思いました。

  3. @あぶくも さん
    ありがとうございます。それぞれが気づかないふりをしていた、してくれていた、優しさと呼べるものなのかな。奥さんはボタンをきっと調節していたと思います。

  4. @たちばなまこと さん
    えー、嬉しいです。ありがとうございます。

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