記憶の澱
洋服やメイクの好みや食べ物の好き嫌いやお酒の好みすら覚えていなかったりするのにどこをどうされるとどうなるのかはしっかりと覚えていたり関係性を交合の回数や忘我の高さや深さではかったりはじめてを共にしたりひとつ屋根の下で暮らしたり泣かせたり見つめ合ったり笑い合ったり美しいものを一緒に眺めたり抱き寄せたり突き放したりくすぐったりくすぐられたりぐったりしたり体に触れないまま精神を触れ合ったり我慢させたり解放したり計画を立てたり行き当たりばったりの旅をしたり煙草を吸ったり本を贈り合ったり音楽を聴かせ合ったり服を貸したり服を脱がせたり熱したり冷めたり燃え上がったり恥ずかしがったり汗をかいたり映画を観たり星空や夜景を見たりじゃれ合ったり拗ねてみたり様子を伺ったり無視してみたり髪を切ったり洗濯物を干したり文句言ったりブルースバンドが演奏するパブの雑踏に紛れてキスをしたり空を飛んだり海を潜ったり木陰でまどろんだり震えたりあなたは私の何を思い出すだろうかあるいは何も覚えてはいないだろうか今際の際でもきっと私はすべてを覚えている
コメント
まあ、覚えてるのはいつも男の方だけなんですけどね。女の人は好きだった感情すら全部忘れられるのが悲しいですよねー。
@トノモトショウ
さん、コメントありがとうございます。
そうそう、まさにそういうやつです。この詩のスタイルで誰へのとも知らぬ未練がましさみたいなものを垂れ流しで表現してみました!女性は何度でも出産を乗り越えるためにも、男性と比べて痛みに強くて痛みの記憶も薄れやすくできているとか、まことしやかに誰かが言うのを聞いたことがあるようなないような。
長い文章とかはとても苦手なんですが、この詩の言葉は流れるように一気に拝読できました。そこに、あぶくもさんの筆力の高さがあるのだと思う。
そして、この詩の内容もすてき。読んでいて、嬉しくなりました♪☆^^
記憶については、私の場合、憶えてることもあるけど、忘れちゃうことも多くてですね。悪いことはある程度なら忘れてもいいとは思うんですが、いいことまで忘れちゃう。ふふふ、悲しいかな。んー。^^
でも、いいの。その時その時が、苦しかったり悲しかったり、そして、嬉しかったりすればですね。できることならば、生きていることを、まるごと楽しめれば すてきでしょ!?ふふふ。そう思います。うん。^^
いつのまにか流れに取り込まれているような心地よい詩です。
私は“震えたり”がいつまでも残ります。
男女差については覚えている事柄のジャンルが違うと体感しています。
@こしごえ
さん、コメントありがとうございます。
長いの読んでもらえて嬉しいです。
悪いことも良いことも忘れてゆくことの幸せ、その時その時に感じることができる幸せ、ですね。そうやって人間は前に進んでいくのでしょう。でないと、全部抱えてたら破裂しちゃうか新しいものが入って来ないかも知れないですものね。
@たちばなまこと
さん、コメントありがとうございます。
「たられば」詩ではなく「たりたり」詩になりましたね。「震えたり」に反応してくれて嬉しいです。男女で記憶しているジャンルが違うと言うのは何となくわかる気がします。また同性でも友人が覚えている箇所と自分が覚えている箇所が違ったりしてその記憶を繋ぎ合わせると面白いですよね。現実世界もパラレル、記憶世界もパラレルに存在しているのでしょうなー。