時計

繁華街の傍ら
小さな公園

止まった時計は
4時3分

陽だまりのベンチへ
座るたびに
見上げる時刻は変わらず

私の中に
積み重なった記憶のパズルを
呼び覚ます

バイト帰りに
夜通し遊び
始発の4時3分

白々とむかえた公園の朝

子の手を取り
急ぐ家路
ヒンヤリとした秋風の吹く16時3分

夕日を見送った秋の夕暮れ

陽は落ちて

ネオンの灯る街
残業帰りの21時過ぎ
酒場で話す「昔」は懐かしく
積んだ経験が
話の種にもなれば
老いの実にもなり

街の夜風にあたり
ふと腕時計を見れば
21時30分

夜景の中の時計は
同じ「いま」を示して
変わらず
明日も時計は4時3分

今日も加わった
記憶のパズルは
重い体に付けたされ

夜の闇を
帰っていく

投稿者

愛知県

コメント

  1. 止まった時計は、なんだか悲しみをまとった物という感じがします。
    それでも、記憶のパズルは付けたされて行くんですよね。そういうことなどの、おもしろ味が、この詩で表現されていると感じます。すてき。^^

  2. @こしごえ さん、コメントありがとうございます。
    止まった時計は悲しみをまとうって感じもわかります。
    動くのが当たり前になっていて、それが止まっている非日常。色々考えてしまいます。
    画詩にしたかったんですが、そこは読者様の想像力にお任せします。

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