赤いらせん階段

誰かがひいたレールに沿っても 我が道を進んでいようとも
必ず目の前に現れる 赤い赤い らせん階段

天まで届きそうな高さ 底なしのように見える深さ
気づけば知らぬ間に乗っている 赤い赤い らせん階段

一歩昇ろうとすれば ぐらぐらと揺れる
一歩降りようとすれば ぐらぐらと揺れる

怖くてしゃがみこんだ僕の 足元に貝殻が一枚
キレイだと拾ってみたら それは誰かの足の爪だった

日向ばかりを歩いていても 日陰ばかりを歩いていても
必ず目の前に現れる 赤い赤い らせん階段

入口も出口も見当たらない それどころか支柱さえない
塔のようにそびえ立つ 赤い赤い らせん階段

怖じ気づいて止まろうが 容赦なく揺れる
疲れ果てて止まろうが 容赦なく揺れる

手すりにしがみついた僕の 両手にべっとりと赤いペンキ
ふと臭いを嗅いでみたら それは誰かの流した血だった

今日は誰が乗るんだろう 赤い赤い らせん階段
今日は誰が落ちるんだろう 赤い赤い らせん階段

飛び降りようとした時に 下から聞こえてきたのはうめき
思わず下をのぞいたら それは「がんばれ」という声で
落ちたたくさんの人たちが この階段を揺すっていた
止めてと叫ぶ間もなく 僕は落っこちた……

落ちた僕の目に入った かすれた「夢」の一文字
それがコイツの名前だと 誰かが耳元でささやいた

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