小さな物語

小さな物語

何でも吸い込む掃除機を
神様は創った
掃除機はゴミを吸って
小さな虫を吸った
動物を吸って
人を吸って
夕暮れの街や
朝焼けの海を吸って
地球を丸ごと吸って
星々、そして宇宙を吸って
創ってくれた神様までも吸った
いよいよ吸うものがなくなると
最後に自分を吸い込んで
どこかの片隅で起こった
この小さな物語は
おしまい

投稿者

コメント

  1. 星新一のようでもあり童話のようでもあります。可愛らしい怖さ。

  2. @たかぼ
    たかぼさん、コメントありがとうございます。学生時代、星新一に感銘を受けて、ショートショートを書いていました。その時のネタ帳に書いていたものなのですか、意外と難しくて、ん十年放置していました。
    これで本当に、おしまい、です。

  3. @たけだたもつ

    まさに星新一だったのですね。
    学生時代からあたためてきた貴重な作品を読ませていただいてありがとうございました。

  4. 神様は掃除機を作った時に、考えていたのかもしれないなと思いました。神様の好きだった夕焼けも、神様が色々作ったから、それも全部みんな吸って、責任とったのか、はたまた寂しがりだったのか…。

  5. @花巻まりか
    花巻まりかさん、コメントありがとうございます。
    最後の、寂しがりだったのか、という言葉が心に響きました。掃除機に吸われた寂しがりの神様。そもそも、何で神様は何でも吸う掃除機を創ったのだろう。
    自分で書いておきながら、いただいたコメントでいろいろと想像が膨らんでいきました。

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