朽ちていく水槽と王女の物語

個性を渦とする
大小、左巻き右巻きとある
巨大な水槽の中で渦は生きている
互いに影響しあう、世界がここにある

多くの渦を統一する、強き王が現れた
左巻きの巨大な渦が水槽全体を占め
王のいる中心は凄まじき回転となっている
世界は激動し、様々な渦が巻き込まれた
王たちの世界が訪れた

王に美しき王女あり
王女の渦は、とても優しく、慈しみを秘める
ある日、王女は恋に落ちる
相手は王の敵、その王子
許されぬ関係、しかし
相似する状況は共感、しして
愛おしき恋の渦は、二人を一つの渦とした

やがて二人の王は気づく、そして王子と王女に命じるのだ、密かに弑せと
はじめに破綻したのは美しき王女、父からの愛と愛する王子に挟まれた、当然の結末
冷たい白ワインに毒を注ぎ、王女は飲み干す
そして、それを聞いた王子も、全てを悲嘆して同じ毒ワインを呑み干した

二人の王は、自らの、かけがえのない唯一を失ったことを知る
悲しみ、深く嘆く、自らの行いを呪う
知る、愛らしき笑顔、新しき王国、その未来を、自らが永遠に閉ざしたことを
王たちは、自らを呪うしかない、後悔と老い、そして願うのだ、自らの早急な死を

無音
世界の渦は、回転を止めた
渦は、渦の本質を失ってしまった
水は淀み、腐ろうとしている

終了
無数の渦はいる
自分自身にすら興味がない、どうでもいい
水槽は、凪のように静まりかえっている
ブザー音が鳴り響く
やがて、水槽底の栓は抜かれた
無数の渦は流れ落ち、何処かに消えたいった

無縁
巨大な水槽は、暗闇の中でただ朽ちていく
世界は役目を終えた
様々な渦の記憶と、静けさ、暗闇、そして全ては忘れられた

再生
新たな水槽に、水が注がれている
中心には、美しき王女の渦が回っている
王女の目が開いた

投稿者

大阪府

コメント

  1. ラストのように、王女、女性が権力を持った方が良い気がしました。男だとすぐ戦争しますからね。なぜか?男根がついているからです。女性が権力を持つとどうなる?本質、与える性なので、全体が豊かになると思うんですが、権力を持ってしまう女性はたいてい中身が男なので、見えないちん、がついています。男性社会と闘ううちに、ちん、が育つのかもしれません…詩を読んで考えました。

  2. @花巻まりか
    コメントありがとうございます。
    そうですね、女性の時代であることは賛成です。
    世界は、変わらなければなりません。

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