名づけなくていいと思った

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海岸線の50分 走行
ときおりのあのひと
30.5度
泣いてばかりいたころ
ひとは遠く ひとは近くに

経過したひと
偶発的にひと
おそらくはそれがひとを彩色する
なだらかに高気圧
ひとは頻繁にわたしを連れ出した
午後二時までの毎晩の経緯
よく泣いた助手席で泣いた 言葉ではなかった。
走行するだけのための沈黙
見なかった時計 よく見えた

陽射しを置いたまま 数年の今夜
この夜陰
コンビニの灯り
いつもの店員さん やさしい男の子
いつものベルギーワッフル
夜陰を ふるふるする
(ふるふる?)

兆候
ときおりのあのひと
「ぜんぶ本気だ」
どこまでがなにものか 知ったことか
この悪態ですら記念日を設けたい
徐行の工事現場
ひとはよぎる

名づけようがない
名づけなくていいと思った
回顧するのは、ひとと、わたししか、いなかったのだから

マンションの鍵音
カランと やさしい索漠

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投稿者

徳島県

コメント

  1. 自分は「名付けようがないものこそが真実だ」と思っています。
    真実って何やねんってことはさておき。
    とてもパーソナルなドラマだと思いつつ、情景が浮かび(望まれていないにしても)シンパシーを感じることができました。

  2. あぶくもさん、ありがとうございます。ドラマと受け取ってもらえたのがすごく嬉しいです。あまり濃くないような感じでさらっと描きたかった作品です。

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