自由のランチ

湖は光を洗い
まろい音をはじきながら
たち渡る風が青じろいまぼろしをつくる

魔法瓶の麦茶が喉を通る冷たさ
図書館の帰り
昼どき近くの公園で
セミの鳴きに耳を傾け
ほおばってみる
塩を効かせたおむすび

 ベンチで座る頭上からのぞきこんでくる
桜木に寄りあう虫たちの視線
梅干しの酸味が暑さすら、
雑草の葉先のほうきで掃いてしまう

手にとった二つめのおむすびは
たっぷり入った辛子明太子
かぶりつくと脳みそが
くすぐったい

対岸の大橋は日輪から溢れおちた
うすむらさきの花の蔓の様に
眩しい弧をえがき
巨きな鎮りのなかに
夏が開いている

投稿者

滋賀県

コメント

  1. 美しい夏の風景が目の前に広がってきました。鮮やかな色彩と同時に。
    食べ物が美味しく感じる──。それだけでとても幸せだなと思いました。

  2. @あかつき美雨

     読んでいただいて、どうもありがとうございます!^^ 嬉しいです。
     ご感想のコメントを拝読いたしまして、ふと……タイトルを
     変更してみようと思いました。こちらの方が、ちょっとイイかも?

  3. 可愛らしくなりましたね。素敵です。

  4. @あかつき美雨

     変更したタイトルを、素敵と言っていただけて嬉しいです!(*´︶`*)
     あかつき美雨様に感謝いたします。
     他に作品を読んでいただけた方からも、漫画『孤独のグルメ』の心象風景と
     重なるとか。「自由なランチ」ではなくて、「自由のランチ」というのが
     絶妙だといったご感想をもらえました。
     

  5. おむすびが おいしそうな詩ですね。おむすびを食べたくなりました。^^
    自由なお昼ご飯の情感などがうまく出ていると思います。

  6. ああ、脳みそがくすぐったい
    わかるなぁ
    いいなぁ

  7. @こしごえ

     読んでいただいて、ご感想のお言葉をお寄せくださり
     どうもありがとうございます!^^
     「おむすびを食べたくなりました。」と言ってもらえて、
     書き手としてはとても嬉しいデス。

  8. @那津na2

     読んでいただいてコメントもくださり、どうもありがとうございます!
     辛子明太子は、私の好物なのです。たわいなくて尊い時間を味わえる
     感謝とよろこびと、おむすびの美味しさを表現するのに、このことば
     しか思いつかなかったのです。(笑)

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