アジノタタキ

繊維の構造に
光が降り注いで
戸惑ったわたしは
少しだけ早口になった

アジノタタキ、と
呪文を唱えた
日除けの帽子は
柔らかな海になって
凪いだまま
わたしの身体に
収まっていった

夏草の匂いをかぐと
名探偵のように人の後を
尾行したくなるけれど
誰もいるはずがないから
一人いつまでも
待ちぼうけている

観察記録をつけながら
爪先立ちの深呼吸
生きることに触れた
それもまた
夏の宿題だったと
八月の終わりに
ようやく気づいた

投稿者

コメント

  1. 確かに言われてみれば呪文のようだ。アジノタタキ、アジノタタキ……どこかの国で誰かが苦しんでたりして。

  2. アジはなんでも美味しい。個人的には、アジフライが好きだけど、
    アジフライアジフライ、、、たしかに、まだ、日本語としては、
    アジフライだと呪文にはならないか。

    一句出来た。

    舌出してあじのなめろうぺろりかな   らどみ

  3. @トノモトショウ
    トモノショウさん、コメントありがとうございます。我ながら素敵な呪文だと思いました。効果測定は身の回りでしかできないから、遠くで何か起きてるかまでは、、、声を発したことにより生じる空気の振動で効果が得られると仮定するならば、そんなに遠くまで影響は及ぼさない(と思いたいです)。

  4. @足立らどみ
    らどみさん、コメントありがとうございます。アジフライ、美味しいですよね。下品ですが、ソースをドボドボかけて食べるのが好き。
    なめろうは我が郷土でよく食べられています。好んでは選ばれないのですが、誰かが注文すると食べたくなってしまいます。

  5. 題から続く一連目とか短歌のようなコンテンポラリーアートかと思いましたよ。

  6. @たかぼ
    たかぼさん、コメントありがとうございます。現代美術って、今はコンテンポラリーアートと言うのですね、知らなかった、、、瀬戸内芸術祭で、廃屋まるまるヤドカリ、が好きだったな。

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