アジの開き

夜七時のニュースへ耳だけ傾け
ガスコンロのグリルから取りだす
鯵の干もの

縁が立ちあがっていて
厚みのある染付の魚皿へ
大葉を敷いてのせた一ぴきに
レモン汁を回しかけ
醤油は垂らさず
熱く焼けた皮を剥ぐ

実が箸先でほろり、ほぐれて
小骨は一本ずつ指先で拾いながら
吸うようにしてねぶり
皿の端に並べていく

 大きな骨も両手でつかみ
しゃぶられて
二つ折りにされたアジの頭が
ニヤリとだけ挨拶した

そいつは骨のまま、ただ無心に跳ね上がって
翼を持たないはずなのに
もう鳥になっていた

投稿者

滋賀県

コメント

  1. 鯵の干ものも美味しいです。アジはなんでも美味しい。
    今日の昼飯は、アジフライが食べたくなってしまい
    わざわざ車で1時間以上かけて小田原の漁港の駅の
    トトロじゃなくてトトコまで食べに行ってきました。
    小魚の類で1番おいしい魚だとあらためて思いました。
    物知りのAIに聞いたら、日本では縄文時代から、
    好んで食べられていたらしいサカナで、アジが良い
    からそのままアジと呼んでいるとか。ほんとかな?
    だけどそう思いたくなるくらい、説得力のある旨さ
    だと思います。いろいろなアジの食べ方もあるし、
    アジはさいこーです。

  2. @足立らどみ

     読んでいただいてコメントもくださり嬉しいです!どうもありがとうございます。
     アジは、おっしゃる通り「さいこー!」だと思います。味の良い魚だからアジに
     なったと名前の由来にありますね。^^
     アジフライとビール、これもまた美味ですし。刺身はもちろん、なめろうも、うまい!
     アジの南蛮漬けも好きです。そんなこんなで、アジを主役に詩を書きたくなりました。

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