名前

テストが始まる1分前
問題用紙に書いた名前を見つめた
飛んでいきそうな字で書かれた名前
芯のない字で置かれた名前

漢字を習いたての小学生の頃
名前のうち一文字だけ漢字で書けた
隣の席の男の子は二文字も漢字だった
少し羨ましかった
書き順を守り、角と分かるほど丁寧に鉛筆を動かした
先生に「名前、綺麗に書けているね」と花まるをもらった
少し嬉しくて丁寧に書き続けた

そのうち姿を消した花まる
紙が配られるたびに1本の線の上に名前を書いた
少しの戸惑いもなく
その線はもう少しで途切れてしまうことに気付かずに

チャイムが鳴った、始まる50分間
今、考えていたことなんて忘れ去ってしまうだろう

投稿者

コメント

  1. はじめまして。短いコメントを失礼いたします。
    拝読させていただきました御作品からは、作者のとてもナイーブな感性と
    思慮深さが伝わってまいりました。もしかしたら読み手側からすると、
    コメントへの難しさを感じている人も(私も……^^; ですぅ)いるのかも。
    これだけ紡がれます詩のことばが、しっかりしていれば。読み手へ思考の
    一部をあずけて、文章に現れないものを余白へ込めてみても、書き手とし
    ては面白みが増すように感じたりもしました。私の個人的な感想です。^^
    上手く言えなくてすみません!

  2. @リリー

    はじめまして。お返事が遅くなり申し訳ございません。
    コメントをしてくださりありがとうございます。
    私は詩の中で自分の思いを全部書かなくてはと思っていましたが、読み手の方に想像していただけるように余白を残すことも大切だと分かりました。
    詩を書く際には、意識したいと思います。貴重なご意見を本当にありがとうございました。

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