たんぽぽ
たんぼぽの
綿毛につかまって
あの人は旅立つ
風が運ぶままに
気のむくままに
スルリと
私もそっと
息を吹きおくる
クルクル回り
フワリと浮かび
あの人は
少し驚いた顔をして
片手をこちらにふり
いたずらな風が
ビョウと
強く吹けば
綿毛は
高く吹き上げられ
昼の空に
満月が白く
残っている
月まで届いたら
あの人は
綿毛から降りるのだろう
月の上に種を蒔き
一面が春の野のように
明るく染まる
あの人の
行く道は遠く
やがて
照らす月は
柔らかな
たんぽぽ色
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