サイレント・グレイヴ

霧の奥底で
何千年も眠っていた
一頭のクジラが
水面に浮かんでいた

空から鳥たちが降りてきた
静かにゆっくりと

風が一度止まり
海は目を閉じたようだった

北極圏の氷がきしむ音と
遠くで割れた
星の記憶が
同じプリズムで重なった

黒い雲が
クジラの上に円を描き
それを見ていた
オーロラが
静かにカーテンを閉じていた

俺はその時
どこにもいなかった
息をするのを忘れていた

頭の上をゴーストバードが飛んでいた
ゆっくり ゆっくり
飛んでいた

投稿者

東京都

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