炭の季節

裏返ったセミが一匹 干からびる日差し
どこかが終わっている夏
忍び寄ることも襲い掛かることも
せずに死が練り歩いている

まやかしの爽快に踊らされよう
焦げた目玉焼きに何かけよう
さいごは何をつぶやこう
水ぶくれの女神にキスしよう
何も居ない神社に手を合わそう

どこか炭が似合う そんな季節

裏返りもしない 焼き上がる日差し
何かが壊れている夏
誰かが見限った夏

どこか炭が臭う そんな夏

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