霊界小説家
想い出に浸る間もない、
そんな事は自明の事実である。
皮膚を擦られる様な、テレパシー、を、
感じた。ちょっと下階に降りてみよう。
バッティングセンターの反響音。
詩は悲劇、真冬の海に浮かぶ屍。
階下に、空気を掴む様に、
手をばたつかせている盲目の女が居た。
そいつは、盲にも関わらず、
手に持った、金色のガンで、
俺の心臓を捕らえようとしている。
ああ、阿呆らしい、無謀だ、不毛だ。
俺は、ゲラゲラ笑いながら、
俺の、心臓はここだ、と、手を取り教えてやった。
女の脈は速いが、俺の鼓動も、負けずに速いぞ。
フォークダンスの様に戯れ合って、暫し。
盲目の女は、血の涙を流しながら、
アイラブユーだったのよ、と、囁いて、
俺の心臓を、これまた上手に、撃ち抜いた。
神よ、心眼流銃術の使い手、
そんな盲目の女に、俺は、撃たれて、
死んだ。
そして、死後、そいつに惚れた。
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