大魚

思考の大海に
潜む影
その背中は
鯨のごとく
深海の藍を
黒くゆらりと横切り

思考の大海は
時に波打ち
時に濁り
時に凪ぎ
影は踊り
その鯰に似た長い髭は
龍を思わせ

時折浅く泳ぎ寄る影は
小さなあくびをこぼす
あくびの泡は
夢を内包して
水面で弾け
かぐわしい花へ変ずる

私は波うつ思考を写し
変ずる色をすくい
泡沫の言葉に紡ぎ

ふるえる海面が
しずまる前に
ただよう花たちの香りが
散ってしまう前に

投稿者

愛知県

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