手術台に座る

目の手術を受けることになった
仕方なかった
遅かれ早かれ手術はしなければならない

嫌々ながらも仕事を調整し、手術日が決まる
浮かぶ
何処かで観た、ホラー映画のワンシーン

冗談ではない、目に針やらナイフなど
日に日に落ち着かない
心乱れる、もはや恐怖する

情報収集は完璧、病院のチョイスも良し
心以外、全て整えて病院に向かう
大丈夫、大丈夫と心中で繰り返す

あっという間に手術室前で待機している
討ち入り前の、サムライのように控える
やがて入室、よぎる映画のシーン

手術椅子に座り、顔を覆われた
顔に浮かぶは死相、笑気ガスなど効かない
優しい言葉で話す先生、看護師さん

さあ、斬りあいが始まる
手術椅子の肘掛けを、木刀のように掴む
これまでか、南無三

と、看護師さんが右手を握ってくれた
大丈夫ですよー、緊張しないで
深呼吸する、力が抜けた

淡々と手術は進む、もう怖くない
意識を、右手に集中する
怖くない、そして手術が終わる

手術室を出ると、家人が迎えに来ていた
慌てて、先生と看護師さんにお礼を述べる
サムライの時間は終わった

翌日、手術後の検査の為に病院へ
大変でしたね、と複数のスタッフさんの言葉
よほど、情けないサムライだったらしい

戦いを終えたサムライは
やけに腰が低くくなる
いや〜ありがとうございました
頭をあちこちで下げる

戦いは終わった

投稿者

大阪府

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