さよなら

壊れてしまうものを
壊れてしまうから
壊していくような
訳の分からない世の中を

息がしたいから
吸ったり吐いたりしながら
なんとなく歩いていることを
日毎夢のように忘れる

今ここにいることも
奇跡なのにと誰かが笑う
涙を流すにも最近は
特別な理由がなきゃならない

すべてが当たり前だと
頷くことしかしない僕は
せめても形だけは整えようと
狂った世界を模造する

いつ雨が降るのかを
日付のでたらめな日記に尋ねる
鏡に向かって皮肉を呟き
鳴らない電話を窓から投げる

会ったこともない
しからば忘れた
いないことを知らない
二度と会わない人達に

洗濯物を畳み
適当に風呂に入る
さよなら、と目を閉じる
息を止める

投稿者

神奈川県

コメント

  1. 会ったこともないいないことを知らない
    二度と会わない人達に

    さよならと言うのにはぐっとくるものがありました。

    ただあきらめるのはまだ早い。涙はあんがい意味もなく流れ出すものです。歳をとると。
    好きな詩で好きな焦燥でした。

  2. 王殺しさん

    コメント有難うございます。嬉しいです。
    自分がどれ位疲れていて、何を思っているかも、なかなか分からないものですね。

  3. わかりきったことほどわかっていなくて、わからないからこそわかる、そんな世界で藻掻くことが生きるってことなのだとしたら、ある意味退屈であるとともに、日常のよくあること過ぎて意識もしない。そんなようなことが詩に表れていると思いました。

  4. さよならとは裏腹に生きる力を感じました。
    「鳴らない電話を窓から投げる」
    が、めっちゃ好きです。

  5. トノモトショウさん

    もう何もかもに、さよなら、って言ってしまいたい気分でした。よくあることだとしても。溜め息みたいなものですかね。

    コメント有難うございます。

  6. たちばなまこと/mさん

    本当に去りたいと思う人程、お別れの時は秘密にして教えてくれない気がします。
    さよなら、なんて言っている間はまだ冗談でしょうね。

    コメント有難うございます。

  7. 私もどちらかというと多感なほうなので職場まで行きつく間に知らない人たちにも
    しぜんと挨拶している自分を笑ってしまうことがありました(嘘です)。気にするな、
    です。

  8. 足立らどみさん

    私はなんでもすぐ忘れてしまう方ですね。コメント有難うございます。

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