
海上の女神
あなたがこの海にけしかけたのである
真珠のままの声で、ときおり雷鳴で
あなたが必然の扉を開けたのである
昆虫たちの祈念する夏の哀歎である
そのままにわたしが、海に入って行けばよいのだとする
この甲羅の重い一日の、シルバーカラーの差し向けられた言葉の
デモンストレーションのための、きらびやかな裾をはらいながら
欲は眼目をくもらしているか、欲は耳目をかすませているか
しゃーしゃーと欲望の視線が、あなたに顔貌する
その必然とした孔孟の、ややこぐさの青い思念の
ハマユウ的に磯部にたむろする若者たちへ
このうちあげられた昆布の濡れた表面に
ぬめぬめとした痕跡である言葉の深海へと思いは深くする
源基は質問されている、時と空間は解答に縛られている
人間がうちあげられて、答えが胸にやぶれて、骨が見える
この神官たちの魚の鰓の戸惑いによくよくかんがみて
サルベージする鉄の船にこやつはのりこもうとする
目的はすでに明瞭であろう、欲望のままに明確であろう
船底につめられていく砂の権利は国家を離れて行く
しかも月へと向かうロケットにこの砂が積まれて行く
新しい月基地の会議室の床に敷き詰められるのは
この砂である、細菌たちがどこで生きているのか
手をついて、地球の平和に関する声を上げている
新しく月の海がつくられて行く
この眠った海のどこにも、わたしはおまえを認識しない
さすれば高揚したこの気分のままで
裸体の女神にすこしの息を感ずるのである
星と星の間に、眼をすえて
シグナルは裸体をいみじくする。
コメント