贈り物が好きだった
初めて出会った時、君はとても静かで、ずっと外に手を伸ばしていた。
『空が好き、毎日毎時間顔色が変わるから。晴れだって雨だってね。』
そんなことを言っていた気がする。あんまり覚えてないけど。
「届かないものに手を伸ばしても意味なんてないだろ。」
そう思ってた。
彼女曰く手を伸ばすことに意味があると。
僕が求めるものは。…伸ばしても手に入らないものだ。
僕は諦めるという逃げ道を使っている。
それに比べて彼女は勇敢だ。泣き虫でも怖がりでも希望を持っている。
僕が諦めた‘’それ‘’を。
僕は人の反応が好きだ。
驚いたり、笑ったり、泣いたり。
だから、言葉や物を贈る。
僕が今まで生きてきた中で、君の反応はダントツだったよ。
期待以上の反応が返ってくるから僕も楽しかった。
だから…。
だから僕は人生最大のプレゼントを君に贈るよ。
君はどんな反応をするかな。楽しみだ。
ふと、求めてた‘’それ‘’に手を伸ばしてみた。
案外いいものかもしれない。
早く知るべきだったのかもしれない。
そしたら、もう少し世界が綺麗に見えたかもしれない。
でも、君が魅せてくれた。それで十分。
あれから長い時間が経っても、僕は‘’君‘’という眼から世界を見るんだ。
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