花と手
私が一番嫌いなこと教えてやろう
花壇から花を盗むことだ
もちろん本物の土付いた花もそうだけど
比喩的な意味の花壇はもっと思う
簡単には言えない
時間の重み
責任の重み
義務の苦味
あの娘はなんにも考えず
ただ手を伸ばして
月に一輪しか咲かない花をむしって
食った
頭が悪くて軽いバカなガキだった
しかしそれとこれは話が違う
そいつにはきちんと
やっていいことと悪いことが分かってた
幇助というんだ
知ってるよ
美しい私の死体が
家賃6万の貸家に転がってた
因果律なんてものは人間の
頭の中にしかない
そこを出られるのは果たして幸せなのか
出たがる奴は少ない
自分を生んだ世界に
なんの救いもないことを知った人間だけが
神になろうとして
翼を広げる
私が悲しむ顔を見て喜ぶような奴等と
仲良くするのか
へえ
仕事なんてそんなもんだな
私が一番嫌いなことを教えてやる
結婚だ
お前は花束でも持って跪くんだろ
本当だから
めでたいな
本当にめでたいな
よそのどんなバカでもいいから
娶ってやれよ
うんざりだな
花壇も
月も
時間も金も
お前も
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