【連載詩】4. メイド・イン・USA
大学生にもなるとこんなコミュ障の僕でも
それなりに人間関係は構築することができて
友人と呼べる何人かと
恋人と呼べる何人かと
どちらとも言えない何人かが
僕の人生を通過していった
そのどちらとも言えない何人かのうちの一人
つまり身体だけで繋がっているある女性は
以前付き合っていたアメリカ人の男性に
アナルセックスを教えてもらったらしい
僕はあそこ以外の穴に入れるのは躊躇したが
どうしてもその女性が言うので挑戦してみた
気持ちいいでしょ?
と問われたので
これまでで一番気持ちいい
と答えた嘘は
これまでで一番気持ち悪いものだった
アメリカの対日貿易赤字が加速化したことで
現大統領は安保条約の破棄をちらつかせた
沖縄以外の三沢・横田・横須賀・岩国・佐世保の
本土米軍基地からの撤退を示唆したことにより
三度目となる安保闘争へと発展する
コメント
安保闘争ならぬちんぽ闘争、いいねー
なぜ、彼はこれまでで一番気持ちいい、と嘘言ったんだろう。考え中。
タイトルおよび詩後半の嘘の対比が素晴らしい。望まない関係性を保つための嘘。誰の、何のための嘘なのか。
【連載詩】4. メイド・イン・USA イン、陰、入れるんデスね。
で、
と答えた嘘は
これまでで一番気持ち悪いものだった
という。と答えた嘘は これまでで一番気持ち悪いものだった というね。嘘が、気持ち悪い、という感覚を想像すると、なるほど、気持ち悪い。その気持ち悪さを、この詩は、うまく、もっと言えば、作者は うまく 表現 している。
或る感覚を、言葉に定着して 表現する というのは、その内容を分かっていないと、それらを言葉に出来ないと思います。それらを言葉に変換する技術力なども必要。
トノモトさんは、これらのことを 全て持っている詩の作者であると思う。すごい。
言葉は発せられた瞬間に大なり小なり間違いを含む宿命にある。すなわち全ての言葉は嘘である。メイド・イン・USO
アナルを通して僕とアメリカ人、ひいては日本とアメリカとの戦い。USA産のアナルは気持ち良くなかったけれど、見栄を張った僕。微妙なパワーバランスで成り立っているアメリカと日本の関係と似てる。アメリカから高額な武器を買わされながら支配下に置かれるしかない日本。アメリカ人に支配された後のアナルを引き受け、性関係を維持するためには気持ちいいと言わなければならなかった僕。最後、安保条約の破棄をちらつかせる大統領が出てくる。縋り付くしかない。気持ち良くないと言ったら負けてしまう。
USAの並びを入れかえて幾つか加えるとそのもの、その行為を表すものになるよね。腸内洗浄など下準備がたいへんだからなー安保のくだりは唐突だが(こういう転換の仕方は個人的にはすごくいいと思う)1行でなく3行は空けたほうがもっとよかったかも
回を追うごとに嘘がよりいっそう生々しく邪悪さを帯びていくのがいいなあと思いました。悪魔がゆっくりと、でも着実に受肉していく過程を観ているような。