乗換駅にて
暗闇の中を
ゴウゴウと走る地下鉄が
明るく照らし出された
ホームに滑り込む
ガタンと
空いたドアから
人々はあふれ
波となって
流れていく
次の電車に
乗り換えるのだ
私もその流れの中で
前を行く背中を
追いかける
同じ方向を向き
歩く人々は
川をさかのぼるようで
流れの中の魚のようで
鞄を抱えた学生
大きな荷物の観光客
職場へ向かう人
色々な背中が並び
私の前を歩いていく
どの背中も
それぞれの人生を
悩みながら
楽しみながら
ここでは
同じ向きで
過ぎる時間さえも
足並みをそろえて
十年前も
十年後も
川の流れに変わりはなく
そして
次の電車に乗る
詰めあって
押しあって
ホームを離れ
それぞれの時間が
流れ始め
電車は暗闇を走りだす
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