手を握る

手を握る、握られる
父母と
大きな手に包まれる

手を握る、握られる
恋人、やがて妻と
たおやかな手を優しく包む

手を握る、握られる
子と
幼き手の求めるままに

刹那に感じる、手のひらの温かさ
重ねた手から伝わる思い
手が手を求めている、お互いに

それでも、手は離れていく
手を握ることの気恥かしさ
続く日常に、思いは薄れていく

気づく

もう、あと少ししか握れない
小さくなって、しわだらけの父母の手
大きくなって、瑞々しい子の手

そうして、つなぐ妻の手の温かさ
ともに時を過ごす、過ごした記憶
手を携えて、二人で歩んできた人生

手を握る、握られる
老いた父母に、いたわりと感謝を込めて

最期のお別れに手を握る
もう、応えない

ありがとう

さようなら

投稿者

大阪府

コメント

  1. 手を握ることへの思いが すてきに伝わって来る詩ですね。

  2. うーんいいですね。なんで手なんだろうと考えたことがある。一番使うところだからかな。いろんなものを触るから精神的に感度が良さそうです

  3. @こしごえ 様
    コメントありがとうございます。

  4. @花巻まりか 様
    コメントありがとうございます。

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