チョコレートメロン

 チョコレートメロン……って、あなたは言ったのね? 宇宙への手ほどきを求めていたあなたに、わたしが釘がちゃんと刺さっていない家の建築図のように、かすかな吐息をもって答えた。

 意味はあるのか? って聞くから、「意味はないよ」って答えたわ。チョコレートメロンが家の鎹になってる。……え? ああそうか。

 チョコレートメロンの図式で、この世には「ないもの」と「あるもの」があり、「ないもの」は「あるもの」に含まれているけれど、「あるもの」のなかで「ないもの」は爆発している! って、わたしは思った──ここで実在する。

「ないもの」は果てしなく広がっていく……のに、

「あるもの」はきゅんと水仙の花みたいにすぼまっている。あ、これって「器」なの? <そうだし、そうでもないよ?>

 誰の声? まあいいか、と、隣の3丁目の奥さんが言った。わたしの家は2丁目だけれどちょうど3丁目の奥さんの家と隣接しているの。だから、ここは「2.5丁目!」なんて冗談を言ったりもする。……ほどけて。

 ほどけた後には、まとまりがあるから、糸くずを拾うアリクイがバレエ・ダンスを躍る。そうして宇宙はふくらんでいく。ぽよん。はふん。があああああん。と、でっかくね? これもまた答えのひとつ。

 でも、優しさはそんなアリクイの世界にはない。もっとコンパクトで、わたしたちがチョコレートメロンのケーキを食べるような界隈にある。そこでは、アリクイも制服は来ていない。あはは……私服のアリクイってかわいいね!

 あ、ここまで来たら答えは間近だわ。チョコレートメロンのレシピって、複雑で簡単。まずは量子を8次元のフライパンで軽く炒めて、9次元のフライホイールへと飛ばすのよね? <なぜか、ここで都バスって変換されたわ?>

 いいから先に行きましょう。アリクイがかまえたフライパンは、「なぜ」という虚空にむけて広がっていく。そこでは、0.3、それから0.38859…みたいな小数がしたり顔をして待ち構えている。嘘。応援している。がんばれ!

 ようやく我に返った<わたし>。眠りの夢ははるかな位相空間への旅で、放物線を縄跳びのように飛んでいる。いや、サイクロイドのほうがいいわ。丸太んぼうみたいに転がされる、わたし。いや……9.95926次元の知性。なんだかだらしねえ……

 みなさんへの最後の贈り物は、これらの言葉がすべて戯れだと言うこと。こんなことはすべてAIが書いたんですよ? ……嘘。わたしが書いた。殴らないでね?

 ……はっぴぃはっぴぃ土蔵はあるか。らっきぃらっきぃ土蔵はないよ? ──ああ、ハレーションをおこして、すべてがのっぺらぼうのように真っ白い光。そこにとげとげがあって? それが宇宙の意志なのよ。おしまい。

投稿者

宮城県

コメント

  1. AIが創作の世界に入ってきて、最近の作品は
    なんだか屈折してますね今は世の中まだ過渡期、、、

  2. この詩を拝読して、私には、この詩は難しすぎるのだけど、最後の
    それが宇宙の意志なのよ。おしまい。
    というところで、ああ そうか そうだよなぁ、と妙に納得して、アンド、驚いて、ポイントしましたの。
    この際(どの際)、むつかしいことは置いといて、あえて一言で言えば、この詩はすてき。

  3. @足立らどみ
    様。うーん。屈折はしていないんだけれど、ちょっとストレートには表現しにくいことを詩に書いてみました。AIは関係あるかな……たぶん、根っこのところではないと思います。

  4. @こしごえ
    様。わたしの場合、「意味」ではなくて「描像」で表現することが多くあります。イメージですね。そのイメージがすとんと入っていただけたら幸いだと思う次第です。ありがとうございます。

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