例外

詩人が死を司る死神の恩寵を受けた人たちならば、
詩のサイトのみんなには申し訳ないけど、裏切り者と
罵られても私は詩人にはなれないのだろう。
 
詩人ではなくありきたりの毎日を生きている成人は
八百万の神たちからのギフトをちゃんと受け取って
いるのだろうか。
 
悲しみの沼のほとりに住んでいる私は死んでいった
ものたちの墓を守る仕事で生計を立てている。
彼らに沼に入ることを止めたのは遠い昔のことだ
 
今、幼な子たちが手を繋いで入ろうとしている。
さすがにセーフティネットの青木さんに連絡する前に、
ひさびさに靴紐を結びなおし前の主人から譲り受けた
灯を懐から取り出して、暗い沼までの泥の下り坂を走
った。
 
「これは私の仕事ではないけど、
行動しなければ朝飯が不味くなるから」
 
誰に説明しているのかわからない。
切迫詰まっている。間に合った。
 
子の手を握りしめた。
子どもらは灯をみつめかえして笑った。
彼の手は私よりも温かかった。 

*
朝飯前、朝飯前。朝はしっかり食べましょう。

投稿者

東京都

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