死ぬる春

思い当たる節のない親切心、ゆすられる前兆、
紙に描かれた神々とその額、桜死ぬる春、若
者らのあいだで流行する永遠との決別、その
際に流れる涙の量と種類と塩分濃度、心の問
題集をひらげる女の子、その子を眺めていて
取りもどした感覚、薬剤のように身体に投与
する言霊、覚醒した詩人だけが達する阿修羅
の域、昼だっていうのに月が見え、自分は見
られている、自分だけが照らされ、自分だけ
が見られている、それは監視というものでは
なく、一対一の対話のようなもので、余計な
言葉はなく、洗礼された言葉だけが交わされ、
それを書き留めているだけで詩になっていた

投稿者

茨城県

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