缶コーヒー

今日も滴る言葉は
現実を深く傷つけ
毒となり私を蝕む
 
仕事をしながら隣人は
ボトボトと零すように
日常のつまらなさを呟き
職場への恨みを
ぼやきながら
同意を求めて振り返る
 
その身勝手さに
次第に空虚になる心を
抱えた私は
ノイバラを心に育て
返す言葉に
自分も傷つき
 
隣人はその殺伐さを
気にせず
毒を吐き続け
 
私は息が詰まり
席を離れるしかなく
 
静かな廊下にでて
行き場を見失った私
蛍光灯の冷たい光の中で
沈黙する自販機
私は独り深呼吸をする
 
ガタンと
落ちた缶コーヒー
 
プルタブひいて
広がる香りに
ホッとする
 
コーヒーの苦味は
口に程よく
心に甘く
ゴクリ、と
ひとくち味わい
この苦しみをほどきながら
 
また日々を
編んで行く

投稿者

愛知県

コメント

  1. 私も自動販売機には、いつもお世話になっています。
    自販機は、沈黙しているかもしれないけど、自販機のおかげで ジュース類を頂けることが、ありがたいですね。
    この詩は、そういうことを思わせてくれる すてきさがあります。

  2. @こしごえ さん、コメントありがとうございます。
    自販機といえば、新札が増えてきて、旧札を見かけなくなりつつあるのに、新札に対応していない自販機が…仕方のないことなんでしょうが、よく使う自販機が対応してなくて、小銭の確保に苦慮しています^^;

  3. @汀尋(ていじん) さん 追伸しつれいします。
    >小銭の確保に苦慮しています^^;
    同じく!^^;
    私の住んでいる村に唯一ある自販機も、新札には まだ対応しておらず、旧千円札や旧五百円玉やその他小銭を確保しておくのが大変です。
    でも、極最近知ることが出来たのですが、(運動にもなるし)歩いて片道20分位の所にある 隣村の自販機は、新札等対応してて、やったー、ってなってます。^^

  4. @こしごえ さん、歩いて20分の自販機…往復40分。歩くと詩想もわきそうですね。秋らしくなってきたので、歩くのもいいですね~

  5. 自販機前の小休止は人生の読点のようで
    なくてはならないひとときですね。
    切ない情景が流れるように浮かんできて
    思わず共感してしまいました。

  6. @nonya さん、コメントありがとうございます。
    人生の読点という表現はいいですね。スッキリ腹に落ちます。
    共感していただけてうれしいです。

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