少女王国

少女王国

エジプトの王家の墓から掘り出されたこの少女は
生きたままに石棺に入れられたのであろう
華やかな宝石に包まれて誰のかわりに死を与えられたのか
この少女の遺伝子から〈複製された〉卵を用意したのである
なんともおとなげないことよのう、悲しみを味わうこともなく
針の先にちくりとあなたの恋情を過ぎ去った時間の卵膜を傷つけて
ただ平原にふる雨の湿度と明るい石の濡れて行くままに
少女のからだはしずしずと分裂し、オモダカのように
この社会の結論とする認否人のサインもいただいている
それから〈まつわる〉財宝の手配された博物館に展示されるままに
この愛しい少女の成長する姿をコウカイするのである
葦の船に乗せられておまえが渡った因果の迷路からヘラサギが浮かぶ
ときには喪心の母の胸に浮き上がり沈み込む
テラはそのようにして大地に種子をコウカイするらしい
そのおぼつかない手ほどきで神の祭壇へとのぼるとしよう
文字はカルタゴの細い枝にくくられてその末裔はコウカイすると言う
おまえが美の決心をするのであれば
わたしは倒壊するテレビ塔から国際の議場に〈少女する〉
へりくだる思いはシンダンの花を咲かせるままにシラサギへと
この辟易たる思いがシャルダンのページを性徴させるだろう
胸はいまだに湖水へと向かうのである
はたして通念のおしよせるナイルのままに
おまえは王国の〈あるじ〉であるか
けだし玉のような宝石がひとみをすべりおちる。

投稿者

岡山県

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。