机上
木漏れ陽のような
小さな音を立てて
空論が机上に落ちた
静かに生む
静かに壊す
その繰り返しが
繰り返される
知ってる
ずっと昔から知ってる
誰からも
忘れられた窓がある
開けることもなく
閉めることもなく
ただ外側と内側の
境目として奥の方に
しまったまま
その薄い存在に
締めつけられそうになる
水彩画教室の帰り道
きみとした約束
守れないなんて
わかっていたのに
したかった約束
しなければならなかった約束
あの日二人は
互いの名前を
一生分呼び合った
机上に貨物船が入港する
常備薬の副作用と
僅かばかりの痛みを積んで
風に触れる
水だから
少し濡れた
コメント
この詩を拝読して、この詩からにじみ出て来る さびしさにひたることが出来ました。
そして、そのさびしさを出せる筆者の存在感と力などを感じます。
こちらは、夏が終わったなあ、と感じる今日この頃。秋にふさわしい詩だと感じます。
窓と言えば、朔太郎の窓を思い出します、窓はどれも、内側に向かって開かれる、ものだと感じます、そして内側にあるものは、〈殺し合いの無い世界〉であるのだと、感じます。名前を呼び合う、関係が無限につづく、世界が、ひらかれたせかいであると、おもうわけです。秋が構成を呼ぶのであれば、そのままに、そのままに、秋の窓をひらきます。
追伸失礼。
たもつさんは、私の今は亡き 次兄と 同じ年の生まれ だと今さっき知りました。なんだか勝手に親近感を覚えます。^^