復讐
少年は狼から戻り
自分が何をしたのかを思い知る
口は血まみれ
地面には
食いちぎられた獣の死骸が転がる
思わず嘔吐く
深い罪悪感と
何処かに残る高揚感に苦しむ
満月を
直視したのだ
全身に、覚醒する獣を感じ
飢え
そして
血を求める渇きが全てとなった
野原を
物凄いスピードで駆け抜け
獲物を追い詰める
哀れな生贄に
恐怖を与える喜び
そうして
最初の一噛みの快感
口内で溢れる
血と肉
生きるとは、こういうことだ
地面にうずくまり
立ち上がった少年の顔は
不敵な表情を浮かべている
力を得たのだ
弱い者から
それらを屠る強者へと
しばらくすると
何くわぬ顔をして小屋に戻る
そっと粗末な寝床に入り
目を光らせる
父母を殺され、奴隷にされた
復讐する相手は、山ほどいる
次の満月が待ち遠しい
少年は、獣の笑みを浮かべた
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