カシスの味

ただぼうっとしていた。
夜の眠りにも入れなくて、
カシス・ソーダ。
ベッドのわきのコーナー・テーブルに、
乗せた……って、記憶はあるけど、
コップにそそいだ記憶がない。

晴れ渡った昨日は、
午前0時を境にして変わった。
明日のあなたと、
お出かけしても、
わたしはちっとも楽しくなさそうだね。

子供のころの遊び、
羊を数える夢、
いまだ忘れていないんだけれど、
でも今夜は数えられそうにない。

どうでもいいような、
本当にどうでもいいような、
明け方に小石につまづいてころんだみたいな失敗を、
わたしは辛酸でもなめたかのように、
カシス・ソーダに投影して見ているけれど、
どうにもならない。
でも、どうにもならない。
だから、どうにもならない。
神さま……助けてって、
こっそりささやいた。

ねえ、カシス・ソーダ。
あなたなら、飲まれる気分はどんなもの?
わたしの喉ではじけて、
楽しいのかしら? 悲しいのかしら?
雲でもほうりこんだみたいな、曇ったグラス。
わたし、もうあなたを飲めそうにない……

わすれて。
わすれて。
わすれたよ?
今夜の内緒話も、
どうでもいい、日々のたわごと。
ベットのなかでクマちゃんと丸くなって、
わたしは朝まですごそう……
そうしたら、
ベッドわきのコーナー・テーブルには、
気のぬけたカシス・ソーダが……。

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投稿者

宮城県

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