ぽっくりくん

ぽっくりくんは
いつも夢見ている
よく晴れた日
高台に立って
大きな大きな海を見ていると
自由に
どこへでも行けそうな気がする
道を選ぶこともなく
障害物もない海に
気ままに体を預け
力むことも
ためらうことも
ないままに四方八方が自由である

ぽっくりくんは
いつも走っている
ここに来ると
決まってしばらく立ち止まり
大きな大きな海を見ている
そして
この高台を通って
海に行くのである
海からの風は
断崖のユリを揺らしながら
火照った
ぽっくりくんの体を
冷やしにやって来た

崖の下は砂浜で
波が足元にすぐにやってくる
すり寄る波に素足を入れ
その潮が引くとき
心が躍る
砂が足をクスグリ
誘う様に潮が膝までやってくる

ここから先は
自由に行けない世界
境界線を感じたとき
海から出るのである
海に住めたらと思う
そして
海の中で散歩したら
いろいろな生き物と
出逢うだろう
ふわふわと浮きながら
走ったなら
どんなに楽しいことだろう

投稿者

東京都

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