断絶カラ
毎日六種類の薬を飲むと
ようやく身体が浄化された気になって
世界そのものがクリアになる
だーかーらー
何度も言わせんなよ
オレの言葉がオマエに届かないのは
オマエが無能なせいであって
オレにはなんら関係ないことであって
クソみたいな権威とかどーでもよくて
オマエはただ黙って
オレのチンポの先っちょでも舐めてろよ
突発性遁走病であることが判明したのは
僕が16歳の夏のことで
これといった治療法はないが
医師から詩を書くことをすすめられた
最初は頭に浮かんだ言葉をただ書き写すだけで
詩と呼ぶにはあまりに稚拙だったが
芸術としてこれ以上のものは古今東西どこにも見当たらなかった
いやいや嘘です嘘です
ごめんなさいごめんなさい
興味ないふりして本当は名声が欲しいんです
確かなレッテルを得たいんです
お願いですから私の言葉を
ちゃんと聞いてください
なんでもしますから!
裸で土下座くらいなら経験済みなので
仲の良かった女友達に
何を思ったか一篇の詩を読ませてみたことがある
あろうことか彼女は号泣して
そのまま僕の身体を求めた
人生において最高のセックスだった
ああ、これが僕の到達点なのかと
伝えるべき相手にちゃんと伝わるなら
もう詩を書く意味なんてないじゃないか
アーアー
すべての詩人に告ぐ
もうオレ以外の詩人は必要とされていない
今すぐその腐った言葉どもを燃やし尽くせ
ねちねちと蠢くだけで
どこにも向かうことなく
誰にも読まれることのない
そんなものは死と同じ
夜、眠れないので
また薬を一種類増やすことにした
夢など見ることもないが
世界はどんどんクリアになっていく
ほら、また、いつものシだ
コメント
ほら、また、いつものシだ
ここ、「シ」と言って、漢字にして断定せずに読ませるところ(しかもカタカナ)も さすがだろ。とオモイマス。
この作品、テーゼの如く鋭く他者の肺を突くのに、ジンテーゼの温もり──あの「相手も息をしている」瞬間──がまだ届かぬ痛みもひしひしと伝わってきます。伝えたいことは、貴殿の詩がラーメンの出汁のように、哲学の香味油と溶け合えば、遠い未来でも共創のスープは冷めないのかなってことを思いました。男の俺も家族のため生きるために仕方なく行った土下座の代わりに、ラーメン一杯どうですか?心から、貴殿のすする音を待っています。
これで総括というわけではないのだろ?因果は拭えないよ!まだまだまだまだまだまだあああああああああああー僕もヨケマキルジゴク読み直しますよ、
私は毎日九種類の薬を飲んでいます。まあ歳ですからね。たまに十種類目の薬を飲むと世界がクリアになります。これは趣味みたいなものです。初めに言葉があったとされている通り、この世界は言葉でできているので、言葉を操る詩人は魔法使いみたいなものかもしれません。だから詩は趣味とは言えないかな。