デーゲーム

改札口の側で
あなたの身体を見つけた
暫く見なかっただけなのに
こんな所にあったのだ、と思うと
何だか懐かしく感じられた
せっかくなので両腕を掴んで
家まで引き摺って帰ることにした
ダイエットに成功した
なんて言ってたけれど
やっぱり人は重たい
途中、警察の人が見かねて
近所まで足を持ってくれた
去り際に
最近は物騒ですからね
と親切に教えてくれた
あなたは居間のテレビで
デーゲームを見ていた
贔屓のチームが勝っていること
画面の人が如何に凄い選手かを
熱心に語り始める
自分の身体になど目もくれない
ひとつのことに夢中になると
他はどうでもよくなる
昔からそういう人だった
わたしはここが二人にとって
最後の家なのだと思う
ずっとあなたの身体に
話しかけていたい
そう思う

投稿者

コメント

  1. 『眠れる美女』的でゾッとさせられる部分もありながら愛おしさもありますね。

  2. 終の住処を何処にするかも大切ですが
    この作品が良いなぁとかんじたことは
    多くの人は他者との関係がフロイト的
    になったり逃げ出したりするところを
    心と身体を切り離したときにリビドー
    以外の概念を示していて、現在の日本
    (最近と経営者つてエセアドラー的な
    発想が多くて深みがないと思うけど)
    の感覚がいきいきとスプラッシュして
    文字には書いてないけど、いいな
    と思いました(数十秒のコメントでメンゴ)

コメントするためには、 ログイン してください。