もしも

もしもたった一人の人が与えられるなら
片耳は神様にあげてもいいな
音のない世界
眼差しと心だけが行き交う世界

信じることは難しいでしょう?
だから受け入れることを選んだ
逃げているのかもしれない
信じるっていうとき
なにを信じているんだろう
たぶん自分自身

ふと視線を上げれば
窓が等間隔に並んでいる
あっちの世界とこっちの世界を
隔てる窓だ
窓際でパジャマ姿の私が
私の片耳を持って手を振っている
早くこっちにおいでよ
同じ言葉を返してやった

とても大切なものを手に入れるには
とても大切なものを渡さなきゃ

片耳をそっと塞ぐ
まだまだ信じる力が足りない

投稿者

東京都

コメント

  1. この詩の、詩の強度が高い、と感じました。

    とても大切なものを手に入れるには
    とても大切なものを渡さなきゃ

    ここが特に好きです。等価交換の法則ですね(漫画『鋼の錬金術師』で知った言葉です。)

  2. @こしごえ
    さん
    銀の匙」は持っていますが「鋼の錬金術師」は未読でした。そして調べてみました。何かを得るためには何かを犠牲にしなければならない…等価交換…そしてまた時間が過ぎました。知らないこと教えてくれてありがとうございます。

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