真夜中の会議は踊る(悩み多き感情たちの詩 その6)
ある日の真夜中のことでした
感情たちが一同集まって
涙は一体誰のものかという議論になりました
開口一番に手を挙げた悲しみちゃん
そんなの私のものに決まってるじゃない
すると横から淋しがり屋くんがすかさず手を挙げて
いやいや ボクのものに決まってるじゃないかと
わたしのものよとツライちゃん
ボクのものだと苦しみくん
もしも涙が他の誰かのものだったら
この先どうやって生きていったらいいのかわからないと
嘆きはじめる不安がりちゃん
誰もがこぞって自分のものだと云って譲りません
怒りんぼくんが突然 テーブルを叩いて怒りだしました
みんなの主張は解らなくはない
悲しみちゃんにしても淋しがり屋くんにしても
ツライちゃんにしても苦しみくんしても
不安がりちゃんしたって
涙はクスリみたいなもので
なくてはならない必要なものだってのはよく解る
けどさ 楽しがりちゃんや喜びくんまでもが
自分のものだって主張するのは
なんかちょっと違くないか?
楽しがりちゃんにしても喜びくんにしても
他にたくさんのものを持ってるじゃないか
嬉しいだとかシアワセだとか
ドキドキワクワク感だとか
何より笑い 笑顔っていう
他のものには持ち合わせていない
素晴らしいものを持っているじゃないか
そのうえ 涙までも自分のものにしたいなんて
よくばりすぎる
ズルいよ不公平だよ と
そばでずっと黙って聞いていたやさしさちゃんが
静かにそっと割って入ります
まぁまぁ 怒りんぼくん落ちついて
こういうときはやっぱり
必要なときに必要な分を分け合うっていうのはどうかな
誰かひとりのものって決めるんじゃなくさ
なくなったらまたすぐ補給すればいいんだもの
それでも足りないときは
私の分の涙 あげるから
ね そうしよ
デジタル電波時計が
ちょうど午前3時33分を示していました
ねぇ 話してたらなんかノド渇かない?
今からそこのLAWSONで
なにか飲み物でも買ってこようよ
ポカリかアクエリがいいかなやっぱり
涙とほぼ成分一緒だし
あ だったら私
ほっとレモンが飲みたい気分
ボクはみっくちゅじゅーちゅかなぁ
。。。やれやれ
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