こえ

ねえ

歯を磨いていたら
きみのこえが
きこえた
きみは蝙蝠が翔ぶ部屋で
最終日に遅れたヴァチカン美術館展の図録を
みているのか いないのか

きみは
ぼくの在りかを確認せずに
ぼくへよびかける

ねえ

またきこえた
便所を出て
そらを見上げても
だれもいない
貝が砂浜にもぐりこむ

きっと
昼間
いいたいことがあったのに
巡査に手を取られ
こらえたのだろう

こどものころ
おなかのいたいのを一人でたえたように

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