風は吹いている

濁り澱んだ現実の上辺を
絵皿の上で薄く溶かして
白い紙に線を描く
頭を占める雑音を忘れて
 
水彩で描かれた絵
透明な風が吹き
なびく夏草の記憶
見ている私を
憧れに満たし
 
あふれた憧れが
こぼれた先の明日は
型のくずれた服を着て
汚れた消しゴムで
力任せにこすったような日々
 
あの水彩画を思う
透明な風を感じたい
奇麗な世界に
小さな私を
ひとつ。書き足せば
輝く世界の中に
心だけでも止めておけるだろうか
 
立ち止まって
落とした視線に
くたびれた靴
 
埃っぽいつむじ風は
心に渦を巻き
カラカラと吹きつける

投稿者

愛知県

コメント

  1. 明日から流れてくる無垢な時間を無意識に汚している今日の自分を感じてしまいます。
    大人って何・・・と。
    考えさせられる詩でした。ありがとうございます。

  2. @風太郎 さん、コメントありがとうございます。
    汚してしまうのか、汚れてしまうのか。大人だからか、大人でなくてもなのか。
    書いた時とは少し違う視点をもらいました。ありがとうございます。

  3. 対比が強烈だなぁと感じました。
    読めて良かったです。
    全然関係ない話になってしまいますが
    昔から、白い画用紙に点をうった絵と
    白い画用紙を埋め尽くして
    残った点、どちらが良いかなあとか
    考えていました。
    なんだかよく分からないですね笑
    勝手にそんなイメージを思い出しました。

  4. @wc. さん、コメントありがとうございます。
    画用紙の話、どちらもそれぞれの良さがありそうです。
    優柔不断な私には決められません(笑)
    その絵を見た時の気分でも左右されそうですね。

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